昨日、ブログでご紹介しましたが、土日に行われている日本雪崩ネットワークさんと共催のセイフティキャンプに先立って、「AvSAR基礎コース」が開催されました!こちらは、センターも構成員となっている、日本雪崩捜索救助協議会の実施する雪崩捜索に特化した講習会です。
特に初心者の方で「雪崩や捜索の基本を学びたいけど、あまり仲間も詳しくなくて・・・どうすればよいの?」という方にはとってもおススメの内容です。
今回は、ななんと!雪崩対策を学ぶ人ならみんなご存知!出川あずささんが講師で来てくださいました!
何と言っても、これまでのご経験や地道なリサーチに基づく、ご見識の広さから繰り出されるトークが深いのに分かりやすく、受講された皆さんも感激されていました。
まずは、雪崩事故の実態や昨今の傾向、実技に先立って雪崩捜索の基本的な流れなどを、座学で学びました。
その後は、早速実技に移ります。 センターの前で、雪崩ビーコンの操作の基本や、その特性について学びました。
ビーコン操作が初めて、という方もたくさんいらっしゃいましたが、皆さん理解も早かったです!
皆さん、センター職員もうらやむ?!(笑)最新機種をお持ちの方がほとんどでした!
ただ、同じメーカー、同じ機種であっても、かなりの個体差?がありました。ましてや、メーカーや機種が違うと、ビーコンの「癖」もかなり違ってくるもの。出川講師からは、「是非、何度も練習して、ご自身のビーコンの癖をつかんでおいてほしい」とのお話もありました。
自分のビーコンの数値や矢印の出方を知っておくことは、現場での迅速な動きにつながるんですね。
この日は、センターではお馴染み、信濃毎日新聞社の大町支局のTさんが取材に来ていらっしゃいました。ビーコンに触るのは初めてとのことで、とても熱心に取材してくださっていました。
最近では雪山における事故事例にも世間の関心が集まっています。雪山を楽しむ我々としては、常に自然を恐れ、自ら学ぶ姿勢を忘れず「無事に帰る」という当たり前のことを実践していきたいと強く思っています。
午後からは、実践的な雪崩捜索の実技講習です。
雪崩ビーコン探索のやり方 、プロービング(埋没者の位置特定のために長い棒【プローブ】を雪面に刺して探す)や、ショベリング(掘り出し)、そしてそれらを一連の流れの中でも、何度も練習しました。
出川さんからは、手順のひとつひとつについても詳しく教えていただきました。
特にショベリングは、初心者の方にとっては特に効率的に掘れないもので、「掘り方やチームの動きも目からうろこだった!」との感想も聞かれました。
前半はパーティーを2つに分けて、互いに救助の手順を見合いっこして、それぞれの気づいた点などを挙げました。リーダーも交代しながら実施し、それぞれ色々な気付きがあったようです。
最後は、パーティーを3つに分け、時間差で救助に加わることで、受講者全員が「ワン・チーム」として救助活動を行いました。
出川講師からの出題は、なかなかシビアかつ難しい遭難のケースでしたが、皆さん声を掛け合い、連携しながら、真摯に取り組んでいる姿が印象的でした。
同一のパーティー内はもちろんですが、特に、現場で居合わせた見ず知らずのパーティーに救助を要請するというケースでは、それぞれ訓練の仕方や救助手順が異なるために、混乱が起きるケースが良くあります。
もし、そのような場合に、学んだ手順が同一であれば「初めまして」であっても協力しやすく、迅速な救助活動につながります。
是非、多くの山岳ユーザーに、雪崩捜索の基本を学んでいただければと思います。
最後に、「学ぶことの必要性が分かった!」「チョッと学んでみたい!」という皆さんに、入門編としておススメの資料をご紹介したいと思います。全て無料で登録等も不要で公開されていますので、仲間とも共有してご活用ください。
①基本の基本!「雪崩対策/7つの基本」
https://snow.nadare.jp/7steps/pdf/jan7step_JP.pdf
まずは「心構え」ともいえる、超基本編。BCユーザーのみならず、全ての雪山を愛する皆さんにご覧いただきたいと思います。
②雪崩の基礎知識
https://snow.nadare.jp/basic/
対策を練るには、まずは「敵」をよく知らねばなりません。
雪崩という「敵」には遭わないのが一番。相手のことをよく知って、遭遇しないような行動が取れるような山岳ユーザーになりましょう。
③雪崩救助の基本
https://avsarjapan.org/resources/
とはいえ、遭ってしまった場合の対処も大事です。「火災」は起こさないことが一番ですが、避難訓練も大事、それと同じことですよね。
(・・・当然ですが訓練を万全にしたからと言って「万が一でもバッチリ大丈夫!」などと、危うい状況に突っ込むことの無いようにお願いします!笑)
これらの一連の学習や訓練は、出来るだけ一緒に行かれる仲間も誘って、「シーズン前の恒例行事♪」くらいにして毎年実施することをお勧めします。ストレスフルな現場では、人はテンパりますし、ましてや仲間が巻き込まれたと想像したら・・・そういう状況だからこそ、落ち着いて行動できるためには、普段からの備えが大事ですね。
センター職員も、何らかの形で実施や参加を毎年のようにしていますが、その重要性をひしひしと感じています。このような素晴らしいリソースを十分に活用して、謙虚な姿勢を忘れず、これからも安全に雪山を楽しみましょう!!