ブログ更新を2ヶ月間サボっている間に残雪期講習が終わり6月から夏の講習が始まりました。各地で開山祭も行われました。
5月30日は白馬岳の貞逸祭。松沢貞逸は、明治40年白馬岳山頂に日本初の営業山小屋を建てました。現在の白馬山荘です。この小屋が出来たことで多くの人が安全に白馬岳に登ることが出来るようになり日本の大衆登山の幕を開けたといえます。
6月7日は、針ノ木岳で慎太郎祭。登山家であり歌人でもあった百瀬慎太郎は、大正6年にこれまた日本初の登山案内人組織、「大町登山案内人組合」を作りました。大衆登山が高まりを見せる中で北アルプス登山口・大町の礎を作った人です。
長野県では、昨年こそ遭難件数が前年より減って発生率でみても僅かに減ったように見えますがその原因は夏場の悪天候で登山者そのものが少なかったと考えられています。
その前は4年連続で遭難件数が増え続けていました。その間にいろいろな遭難防止対策を打ってきましたが今年はその成果が問われます。
「信州山のグレーディング」は、今年は山梨・静岡・新潟の中部4県で共有され、各県100ルート程度を同じ基準で評価して既に公表されています。今月発売号の「山と渓谷」や「PEAKS」などでも取り上げられる予定です。これが拡がって無理な登山が減ることにつながれば良いと思います。
グレーディングと対をなして、登山者の体力を評価する方法も拡げようと考えています。山本正嘉先生(鹿屋体育大学教授)の提唱されている、「1時間あたりの登高能力」を指標にしようと考えていますが、こちらは表現ややり方を巡って最後の調整中。山と体力のグレーディングだけが注目されて、体力に見合った山に登りさえすれば事故は起きないと誤解されてしまうのではないか懸念しています。安全登山にとって、自分の体力に合わせた山を選ぶことは大きな要素ですが、他に天候や、体調、技術、知識、判断力など他のリスク要因もあります。ここを間違えるとかえって事故を増やしてしまいます。