今日から2日間、夏山における、登山の基礎知識を学ぶ
座学講習会を開催しています!
スタートは、長野県警・山岳安全対策課の水口さんから
「長野県内における山岳遭難の現状から学ぶこと」と
題してお話をいただきました。
県内の遭難の傾向について、データや実際の救助時の
写真などとともに説明がありました。
転滑落等の防止については、適切な装備の所持が重要であること、
また、ヘルメット着用により一命をとりとめた例が
複数あることなどもご紹介いただきました。
また、遭難してしまった場合はどうしたらよいかということや、
通報時の注意点、ヘリ救助時の注意点など、具体的に
教えていただきました。
(※YouTubeに長野県警の救助の動画がありますので是非ご覧ください)
遭難防止の観点から、登山者に最低限所持してほしいものとして
紙の地図、ヘッドライト、携帯+バッテリー、レスキューシートやツェルト、
アイゼン(季節、場所によって)、雨具を挙げていらっしゃしました。
特に近年、地図はスマホで代用する方が多いが、電池切れで使えない、
電波がないと使えないといった事例も多いそうです。
また、アイゼンを所持していても使えない人もいるとのこと。
当然ですが、装備を使いこなす技術も重要です。
夏山シーズン最盛期に向けて、大変身の引き締まるお話でした。
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次に、株式会社シナノの安藤さんから、「トレッキングポールの
安全な利用」について、実技を交えて講義をしていただきました。
シナノさんは、来年で100周年!を迎える、長野県のポールメーカーです。
初めに、座学です。
トレッキングポール(ストック)の種類と特徴、また、持ち方や、
ストラップ(手革)の利用の仕方などの基本的な知識について
分かりやすく教えていただきました。
また、過度に荷重をかけると当然ですが破損し、重大な事故に
つながることもあり得ます。
安全に利用するためには、体重を「預ける」ことは危険、
あくまで体重は「掛ける」だけにすることが重要だそうです。
疲労が蓄積してきた下山時など、特に注意したいものです。
続いて、実際にポールを使って、実技講習!!
近くには急坂がないので、階段を利用して行いました。
講師の安藤さんから、一人ずつにアドバイスもしていただく
時間が取れました。
普段何気なく利用している方も多いと思いますが、
誤った使い方をすると機能を活かせないだけでなく
危険も伴います。
しかし、上手に使えば「体力も【ストック】」出来る!とのこと!
(ウマい!!)
是非、有効に、安全に使いたいものですね。
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そして、午後からは気象についてです。
「山の気象の基礎と夏山の天気」と題し、山岳会GDM所属で、
元・富士山測候所職員の西島さんからの講義です。
初めに、自己紹介を兼ねて・・・とのことで、富士山の
登攀や滑走の歴史、測候所の歴史などについて、
お話がありました。
※ちなみに、上のスライド写真は、伝説の強力さんの写真。
(担いだ丸太に、大の男4人がぶら下がってます!!)
その後は、いよいよ本題!
「気象の基礎」について、お話をいただきました。
日々、気象予報等行っているプロならではの、
各気象台が発表する情報の詳細な内容、また、
どのように予報が作られていくかなどについても
説明していただきました。
続いて、高気圧、低気圧、前線など、気象の基礎知識、
また季節ごとの顕著な天気図について学びました。
こちらは、気象庁のHPの見方について解説中。
情報が膨大で、どこを見たらよいのか?ということも
あると思うのですが、その効率的な探し方についても
教えていただきました。
後半は「山の天気」と題して、高層天気図の見方も
交えて講義をしていただきました。
特に、夏山の気象の特徴を中心に、実際の過去の天気図や
衛星動画などを交えた内容でした。
天気の変化も、大気現象のスケールによって、時間持続が
変わってくること、そのうち、天気予報で把握が可能な範囲は
どの程度なのか、といったことについても教えていただきました。
個人で天気予報にチャレンジ!というのはなかなかハードルが高めかも
しれませんが、気象の基礎知識があれば、普段見ている予報も、
より理解して、深く見ることが出来るようになると感じました。
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2日目の明日も、引き続き座学講習を開催します!
午前中は、山で起きやすい病気などについて、山岳医の先生から
講義をしていただきます。
午後は、登山における障害予防とトレーニングについて、
理学療法士の先生からの講義です。
明日も1日、有意義な講習になりますように!