9月23日~24日に「秘境 カクネ里とは」を大町市立山岳博物館及び山博友の会との共催でおこないました。
23日の夜に立山カルデラ砂防博物館の福井幸太郎氏に講演をしていただきました。福井氏は2011年よりカクネ里の調査に入り、2014年からは大町市立山岳博物館と共に3か年計画で現地調査を行ってきました。このほどその成果がまとめられ、あとは学会でカクネ里が氷河と認められるかどうかという段階になっています。
福井氏の講演は、氷河の概念説明(万年雪との違いは流れているかいないか)から始まり、日本で現在氷河と認められている小窓雪渓・三ノ窓雪渓・御前沢雪渓の紹介がありました。カクネ里については、氷河の可能性を見抜いた今西錦司氏の気づきや五百沢智也氏(地理学者)の現地調査に触れ、今回の調査活動の報告に入りました。
調査の結果、カクネ里は長さ700mほどの氷体を持つ氷河らしいということでした。航空写真の比較によると、1955年から12%ほど小さくなっているが、世界の他の氷河に比べるとそれほど縮小していないようです。ぜひ、第4の氷河として認められてほしいものです。
翌24日の現地観察は朝から良い天気に恵まれました。五竜遠見尾根の小遠見からカクネ里の雪を観察するのが目的です。テレキャビンで上に上がり、2班に分かれて登りました。紅葉が始まっている爽やかな秋山の景色を楽しみながら登りました。
小遠見に着いた時は、稜線に雲が湧き、残念ながらカクネ里ははっきり見えません。山岳博物館の現地調査員西田均氏に解説をしていただいている内に見え隠れするようになりました。
結局、下山開始の時刻までに全体像を確認することはできませんでしたが、又の機会に楽しみを残して下山に入りました。珍しく朝からずっと風が無く、パラグライダーが優雅に空を舞っていました。
リフト終点まで下った後、白馬五竜高山植物園の坪井勇人氏の説明を受けながら植物園を下りました。植物園の管理では、苔が生えて困っているなどの意外なお話を聞きました。
カクネ里の全景を目にすることはできませんでしたが、大町の財産を再認識することができた2日間でした。