(ブログ担当Aより)
前所長の杉田が担当する、新シリーズがスタートします!
名付けて「ビスタリ山ある記」。
自身の山行あれこれ、山について思うこと、感じることなど、
つれづれに綴っていきます。お楽しみに!!
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ゴールデンウイークも終わりました。
皆さんは楽しい山登りができたでしょうか。
前半は雷が鳴ったり雪が降ったりしましたが、後半は概ね良い天気でした。
3月から4月半ばころまで比較的低温が続いて、例年より多めの積雪が残っていたこと、
4月26日・29日に標高の高いところにかなりの新雪があったことから、
全体に積雪が不安定だったようです。
(2017年GW中の県内遭難事故まとめ)
4月28日には、白馬大雪渓で大きな雪崩が発生し1人が現在も行方不明です。
後半は気温がかなり上がって、新しく降った雪の一部が重さに耐えきれず
滑り落ちる湿雪雪崩が多発し、穂高のこぶ沢では雪崩で1人が亡くなりました。
事故の発生状況は昨年とほぼ同じで、山域では穂高岳周辺、態様では滑落が最多でした。
5月の山はすばらしいですが、一つ間違えると事故につながります。
体力があることは必須です。
変化する雪面を安定して登下降できる技術が身についてない人は、
入ってはいけない場所です。
積雪期の事故について調査した結果を「情報発信」の「調査研究」のページ
に載せましたのでみてください。
さて私は、4月から週に2日程度出勤するだけという好条件を手に入れたものの、
なかなか山に行くことができず、やっとゴールデンウイークの終わる5月7日・8日に
スキーで火打山に行ってきました。
火打山は長野県の北部、妙高山の西にあって、後立山連峰の稜線からならどこからでも
平らな稜線の真ん中に三角のピークを載せた端正な姿を臨むことができます。
上信越道の妙高高原ICを下りると北信濃の山はまだまだ真っ白。
駐車場からスキーを履いて歩き出し、1時間ほどで黒沢の橋を渡りここから登高。
尾根が細くなるところでスキーを担ぐところがありましたが、
4時間ほどのハイクアップで標高2,100mの高谷池ヒュッテに到着しました。
ここは私にとって40年近くも前の苦い思い出の地。
20代の私は山岳会の5月合宿で、火打山から北東に延びる尾根から
スキーを担いで登ってきて高谷池にテントを張りました。
体力が有り余っていた私たちは、池のほとりの斜面でスキーの腕試しをすることになり、
他の皆は直滑降でうまく滑ったのですが、スキーを始めたばかりでボーゲンしか
できなかった私は傾斜の変化に対応できず1人だけ転んで鼻血を出してしまいました。
次の日は黒沢に沿って下ったのですが急な斜面をボーゲンで下るのは苦行以外の
なにものでもなく1人悪戦苦闘。
やっとの思いで笹ヶ峰キャンプ場にたどりついたのでした。
それ以来2度目の高谷池ヒュッテは、変わらない3角の屋根が半分埋まって建っていました。
次の日、快晴でしたが風が強くおまけに雪面はカチカチ。
陽が出てしばらく待ったのですが、雪は緩んだけれど風はいっこうに収まる気配がないので
目の前の火打山登頂を諦めて下山しました。
他に何人か登ってきましたが全員登頂は諦めていました。
スキーでの下りは快適でした。
40年経って体力は比べるべくもなくなったけれど、スキーの腕は上がったようです。