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所長のひと言(32)「ライチョウサミット」

紅葉は安曇野の平に降りてきました。

常念岳の頂上付近は少し、蓮華岳から北はかなり白くなりました。

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少し前になりますが10月15・16日、大町市で「ライチョウサミット 第17回ライチョウ会議長野大会」が開催されました。ライチョウの研究者が集まって研究成果を発表しライチョウの保護を考える集いです。今年は特に「ライチョウサミット」と名付けて、行政・研究者・市民団体が参加し2日間の議論は全て一般市民にも公開されました。
ライチョウは絶滅危惧種に指定され30年前は3,000羽ほどいたものが、最近では2,000羽を切ったのではないかと言われています。

保護活動が加速したのは2010年に環境省が「ライチョウ保護増殖事業計画」を作ってからです。活動は、“生息域内保全”、“生息域外保全”と“関連研究”の3つの切り口で進められています。

“生息域内保全”は、孵化したばかりの雛と母鳥をゲージの中で1ヶ月ほど飼育しその後自然に返します。ふ化後1ヶ月間の死亡率が高いという研究から考えられたものです。2011年からの乗鞍岳では大きな成果を上げたので2015年からは減少が著しい北岳で行われています。今年は20羽保護し1ヶ月後に15羽を放鳥しましたが10月にはテンやキツネに捕食されたようで2羽まで減っていたという報告がありました。

“生息域外保全”は、動物園などで飼育して餌や感染症など細かな飼育技術を解明する目的で行われています。2008年からノルウエー産のスバールバルライチョウの飼育を始め現在では8園で89羽が飼育されています。日本ライチョウは乗鞍岳で採卵したものが富山ファミリーパーク・上野動物園・大町山岳博物館で合計14羽飼育されています

“関連研究”は、域外で飼育した個体を自然に返すことを想定して人工飼育したときの餌と栄養の関係や腸内細菌分布のコントロールなどが研究されていました。ずいぶん研究の範囲が広がっているのだなという印象を受けました。

このような保護増殖活動は、これまでにコウノトリやトキで行われましたが日本の固有種を残すことには失敗し、外国産のものを移植しています。

ニホンライチョウでは是非増殖に成功してほしいものです。2,000羽とはいえ今なら間に合うのだそうです。

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(今年7月、センターの講習中に出会ったライチョウファミリー)

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