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「宝剣岳」(「ビスタリ山ある記」(35))

私の所属する山岳会では、この時期に雪上訓練をやります。今年の場所は中央アルプスの千畳敷。通年でロープウエイが運行されていて他の山に比べてアプローチが容易です。

メンバーは6人。千畳敷から乗越浄土に登り、稜線でテントを張って一泊し、翌日は宝剣岳に登る予定です。

12月21日(土)

麓の菅の台バス停からのバスはほぼ満席。30分ほどでしらび平着。ここからロープウエイで千畳敷駅。駅の外はいきなり白銀の世界。すでに乗越浄土につづく斜面に登山者の行列ができています。

(乗越浄土への登り)

ビーコンチェックをやって登山開始。最初はつぼ足で、途中からアイゼンを付けました。

宝剣岳中央稜に2人取り付いていました。

(宝剣岳中央稜の登攀者)

稜線直下は結構な傾斜でミスがあれば一大事。経験の少ない新人の歩きぶりに注意しながら登ります。稜線に出ると風が強く、雪も堅くなりました。宝剣山荘の横にはすでにテントがあって、その先の天狗山荘の陰に張ることにしました。雪は堅く、シャベルの入らないところはピッケルで削って2張り分の平地を確保。

(テント設営)

風にテントを飛ばされないよう手分けして慎重に張ります。石もブッシュもないのでピッケルを突き刺したり、穴を掘ってストックを埋めたりしてテントを固定します。歩道のロープの支柱も拝借。2時間掛かってテント2張りを張り終え、水をつくる雪を集め、テントの周りにテントシューズでも歩けるスペースを確保してテントに入りました。気温はマイナス10度。風速は20m弱。

12月22日(日)

風は収まったのですが、南岸低気圧が接近していて空は雲に覆われています。

食事の後、テントを撤収し荷物を宝剣山荘の前にデポし全員で宝剣岳に登ります。

(天狗岩)

天狗岩を右に見ながら頂上岩稜の取付点まで登ると雪に埋まった夏道の鎖やロープが所々見えています。ロープはなくてもいけそうですが、滑落事故のよく起こる場所です。

女性2人がロープをフィックスして頂上を目指します。最初のピッチはJさんの確保でNさんが、木曽側に切れ落ちた急な雪壁をトラバースして岩の混じる急な斜面を登って尾根上に這い上がったところでピッチを切りロープを固定。固定されたロープを使ってJさんがNさんのところまで登り、入れ替わってNさんの確保でその上にロープをのばします。残るメンバーは固定されたロープを使って順に登ります。2ピッチで頂上に到達。

(頂上から登ってきたルートを見下ろす)

頂上からは360度の展望。雪があるのは高い山の頂上付近だけです。下りはフィックスロープにつかまって慎重に下ります。最後の人は確保されてクライムダウン。

(頂上から 登ってくる登山者)

強風の中でテントを張り、手袋をしてロープを扱うよい訓練になりました。

(頂上から御嶽山 雪は高い所だけ)

今年もあと数日となりました。

今年は来年からの指定管理者公募への応募、創立50周年記念イベント、そして来年度の準備と慌ただしい一年でしたが、来年度からまた5年間の指定管理者に選定されました。

初心を忘れず、登山者の皆様の役に立つ山岳総合センターとして引き続き活動をしていきたいと思っています。

来年もよろしくお願いします。よいお年をお迎えください。

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