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「富士山 高所トレーニング」(「ビスタリ山ある記」(16))

今年の季節は駆け足です。信州では例年6月中旬の梅雨入りが、6月になったばかりでもう秒読みの気配です。
5月21・22日、1泊2日で富士山に登りました。

チベット登山隊の高所順応トレーニングです。5月連休明けに予定していたのですが、天気が悪くて2週間遅れになりました。緑が鮮やかなスバルラインを登って富士吉田5合目。

標高2,300m。駐車場に観光バスがずらりと並んで、中国語が飛び交っていました。

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吉田口登山道は、駐車場から東に1kmほど回り込み、吉田大沢右岸の岩稜を登ります。夏は小屋が幾つも並んだ人気の登山道ですが、今の時期、小屋は営業していません。登山者もちらほら。吉田大沢上部には雪がべったりついています。上部に人が見えるのはスキーヤーでしょう。

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標高2,400m位からは、植生はほとんどなくなり、軽石と砂の道で、風が吹くと口の中がジャミジャミしてしまいます。決して楽しい道ではありませんが、全ては高所順応の為。今日の目的地は、標高3,000m以上で雪があって水を作れてテントが張れるところです。

2,500m位から登山道は傾斜が増して岩稜となります。

歩き始めて3時間半。やっと雪がある場所に到着。小屋の前にテントを張ることにしました。

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標高は3,100m。この日あった登山者は全員日帰りの外国人でした。さすが日本を代表する山です。
翌朝も良い天気です。靄が掛かったような地平から日が昇りました。

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雪が堅いうちにと5:40出発。登山道を少し上がって、吉田大沢に下りてアイゼンを付けました。傾斜は30度くらいで、アイゼンが小気味良く利きます。

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3,500m位、傾斜が強くなったあたりで、フィックスロープを張って、ユマールを使って通過する練習を2ピッチ。傾斜は40度に近かったでしょうか。本番で氷が現れることを想定してスクリューハーケンで支点をとりました。本番ではどうなるでしょうか。

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9時少し前に狛犬のいる鳥居をくぐって頂上到着。

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一休みした後にお鉢巡り。標高の高いところで出来るだけ多くの時間を過ごすことが高所順応に有効です。最高点の剣が峰にあった気象レーダーは今ではなくなりましたが建物は残っています。

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最高点でSpO2(動脈血酸素飽和度)を測定。一番高い人は99%、低い人では77%。数値は結構個人差がありますが頭痛などのAMS(急性高山病)の症状がでた人はいませんでした。2時間ほど頂上に滞在して下山開始。降り口は結構な傾斜で緊張しましたが表面が柔らかくなって良い感じにアイゼンが利いて無事に下山できました。
今回測った、SpO2の値をベンチマークに、9月の本番まで、低酸素室と実際の登山を通して国内で高所順応を獲得すべくトレーニングをやっていく計画です。

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