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所長のひと言(28)「夏山常駐パトロール隊」

海の日が近づいて梅雨明けが待ち遠しいところですが、前線はまだ本州の南を上がったり下がったり。もう少しの我慢です。

夏山シーズン開幕を目前にした7月13日、大町警察署で夏山常駐パトロール隊の結隊式が行われました。8月31日までの50日間、31名の隊員が長野県警察山岳救助隊員と一緒に北アルプス各地に常駐して登山者の指導や相談、遭難者の救助活動などに当たります。

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昨年、長野県内で起きた遭難事故は273件。過去最高を記録した2014(平成25)年の300件に比べると少ないですが依然高水準です。そのうち58%の158件が北アルプスに集中しています。全国で起きた遭難事故は2508件ですから、長野県の273件は11%に、北アルプスの158件は6%に相当します。今の登山ブームでは、北アルプスは人気の山を多数抱えて登山を志す人の憧れの場所ですが、これだけの事故が集中して起きている山域だということを心に留めておく必要があります。そのため長野県山岳遭難防止対策協会では、夏シーズンの北アルプスだけは常駐隊を置いて事故防止にあたっています。

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長野県内の北アルプスは、槍ヶ岳から北に流れ出す高瀬川を挟んで北部と南部に分かれます。北部は白馬岳から爺ヶ岳に連なる後立山連峰と裏銀座コースの山々がテリトリーです。この稜線が富山県との県境になるので、黒部川から西の立山・剣岳エリアは含まれません。不帰キレットや八峰キレットのある後立山の稜線、蓮華温泉周辺、白馬大雪渓など注意すべきポイントがあります。16名の隊員が各地の山小屋に常駐して活動します。南部は槍・穂高エリアと表銀座コースの山々がテリトリーです。ここはなんと言っても穂高周辺が要注意。また北鎌尾根や西穂~奥穂の縦走路など、“信州山のグレーディング”のEを越えたF以上のコースに安易に入って起こす事故が毎年後を絶ちません。涸沢ヒュッテ横の涸沢山岳総合相談所を拠点に15名の隊員が域内を巡回します。

女性2名を含む31名の常駐パトロール隊員は、登山経験豊富で訓練も積んでいます。頼りになります。今年は空色のTシャツを着ています。何か聞けば親切に教えてくれると思います。でも最初からそれを当てにしてはいけません。自立した登山者が基本です。

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