山岳事故が多発しています。
夏山シーズンに入り、長野県内では過去最速のペースで遭難件数が増加している状況です。
多くの山域で、コロナ禍により例年より登山者数は減っているにもかかわらず、これは異常な状態ともいえます。
理由として考えられるのは・・・
★コロナ禍で体力が低下しているにもかかわらず、それを自覚しないまま入山
★登山への関心が高まり、知識・技術不足の初心者が増加
★密を避けて単独で入山をするが、判断を誤る・危急時に対処できない
・・・他にも天気が良く気温が高いため熱中症になりやすかったなど、いろいろな傾向も伺えますが、救助に携わる方々からは「近年遭難の質が変わってきた」「起こるべくして起こる遭難が増えた」という話も聞こえてきます。
ご存知の通りコロナ感染拡大も収まらず、救助も大変な中で行われています。
以下は長野県の山岳遭難防止常駐隊として活動中のAさんが現地で感じられたことを、「遭難する方が一人でも減れば・・・」ということで提供していただいた文章です。
多くの方の目に届き、一件でも遭難が減りますように。
【以下、Aさんの文章】
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今年は昨年からのコロナの影響で歩けていない(トレーニング不足)方々がかなり多く、残念ながら、(常駐機関の)前半でかなり多くの遭難件数となっています。
また街中では猛暑の日が続いていたみたいですが、山の上も同様で、熱中症もかなり多発しました。私自身も歩けていないので、結構辛いのが現状です。
一度落ちた体力を戻すのはそんなに容易ではありません。特に50歳オーバーの方々。
ガイドの方々も同様です。
過去の栄光は関係ありません。現状が全てです。
今一度、自分自身の力量や体力を見直して、山行計画を立て直してください。
計画も「明るいうちに到着すればいいや」ではなく、目的地には遅くとも14時〜15時には到着するようにしてください。
これはなにか予定外の出来事が起こった際に対処できる為。また夏場は積乱雲の発達が多く、夕立の確率が高いので、雷に備える意味もあります。
これはご自身やご家族の為です。
勿論救助に携わる人間の問題もありますが、自分の身は自分でしか守れません。
私達がいくら声をかけたり、アドバイスをしても最終的に決めるのはご自身です。
誰も事故を起こしたくて、起こしている訳ではありません。
自然相手なので、100%事故しないというのも不可能です。
ただ、確率を減らすことはできます。
しっかりと自分と向き合ってください。
後半はどうか一件でも事故がへりますように。
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以上、常駐隊員Aさんからの写真と文章でした。
(Aさん、ありがとうございました。どうぞお体にお気をつけて!)