今朝の気温は-8℃。それでも随分暖かくなったと感じます。
空の色は少し白っぽくなりました。
そういえば昨日見た天気図には南の海に停滞前線が現れました。
春は近づいてきています。
雪拉普崗日は、シュエラプカンリと発音します。
チベット第二の都市、シガツェの北西約200kmにある山です。標高は6,310m。
昨年5月の偵察が不調に終わったあと、新しい目標の山を探しました。
地図を見てガンディセ山群を中心に7つの山をピックアップして、未踏峰であるか、
登山許可が取れるかということをチベット登山協会に照会しました。
この条件に当てはまったただ一つの山が雪拉普崗日(シュエラプカンリ)でした。
この登山のコンセプトは3つ。一つはチベットとの友好兄弟協定の登山と
言うことで双方の隊員による合同登山隊、二つめは登山の原点である未知への挑戦
ということで未踏峰を狙うこと、三つめは科学的手法を駆使して短期間で高峰に
登る手法を実践することです。
長野側の隊員は、協会員から公募して8人が決定しました。私も参加します。
三つめのコンセプトは、具体的には高所順応のことを指しています。
国内の山と違って海外の高峰を目指す時、一番問題になるのが高所順応です。
高所に行くと気圧が低くなるので、酸素を取り込みにくくなって体内は酸素不足
の状態になります。酸素不足状態が長く続くと頭痛や倦怠感、さらに浮腫、
呼吸困難になって最悪の場合は死に至ります。
しかし標高を上げて体に刺激を与えた後に、低いところに下がると症状は
解消します。これを何度か繰り返すと体は次第に高所に順応し、やがて高所に
行っても症状が出なくなります。
これが高所順応で、これまで行われてきた方法は、国内では富士山などに
登って高所を体験しておき、本当の順応は現地に行ってから上下動を
繰り返して順応を獲得してから登るというものです。
国内で一番高い山は富士山で標高は3,776mですから、約4,000mまでの
順応は国内でも出来るがそれ以上は出来ません。
現地に行ってから順応期間を必要とするので、登山期間はその分だけ長くなります。
それで6,000m峰なら1ヶ月程度、8,000m峰なら2ヶ月くらいが相場です。
これを、6,000m峰なら2週間程度で登る方法をやってみようというのです。
目玉は低酸素トレーニングです。
この装置を借りて、山岳センターに置いて9月の登山までの半年をかけて
国内で順応しておき、現地では出来るだけ短期間で登山をする計画です。
6,000m峰が2週間程度で登れるとなると、忙しくて休みが取れない人でも
なんとか射程範囲に入るのではないでしょうか。
低酸素トレーニングの具体的な方法は次回。