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所長のひと言(27)「登山の実力とは」

6月第一週の日曜日は、大町が北アルプスの玄関口だった大正の頃活躍した百瀬慎太郎の名を冠した慎太郎祭。針ノ木雪渓の開山祭です。いよいよ夏山シーズンが開幕です。

前回、登山は体力だけでなく頭を使うと書きました。頭をつかうとはどういうことでしょうか。今回はその中身を考えてみようと思います。

山岳センターが去年から体力の必要性を強調しているのは、「実力にマッチしない登山をして事故をおこしている」人が増えているせいです。実力を構成する大きな要素は体力です。だから体力に合わせた登山ルートを選ぶために、「山のグレーディング」と「マイペース登高能力テスト」を使ってください、と言っています。

しかしそれが全てではありません。どちらも無雪期の好天時を想定したものだからです。実力を構成するもう1つの要素は、知識と技術、そして経験に基づく「判断力」です。「体力」と「判断力」、どちらか1つと言われると「判断力」かもしれません。

下表を見て下さい。「信州山のグレーディング」に載っている無雪期の登山ルートを歩くとき、必要と思われる知識・技術と能力を拾い上げてみました。

handanryoku

これを全て満たすことが出来れば理想ですが、とても難しいことです。

大切なのは、目の前の事態を理解し、その中に隠れたリスクを予測し回避する方法を判断し続けることです。判断のベースとなる体力や知識・技術が高ければリスクは小さく、多様な選択肢が可能です。体力や知識・技術が低い場合はリスクが高く、選択肢が限られるでしょう。

積雪期の場合は、さらに雪崩の予知や遭遇したときの対応、アイゼンやピッケルを使って登下降する技術が必要です。また登山道や標識は雪に隠れているので、自分で安全なルートを見つけなくてはいけません。山小屋は営業してないことが多いので長いルートはテント泊装備を背負って行かなくてはいけません。つまり積雪期の登山は無雪期に比べて、すべての要素で難易度が上がるのです。そこに悪天候が重なればリスクの大きさは比べようもなく大きくなります。

前回触れた、5月連休中に起きた事故の多くは、私の想像ですが体力が不足していたというより、残雪期や悪天候のリスクに対する想像力が不足していたのではないかと思います。今年はこのことについて調査しようと思っています。

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