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所長のひと言(20)「ヘルメットを考える」

大町から見える後立山は一度真っ白になったものの、また溶けてしまいました。しかしながら、本格的な冬ももうそこまで来ています。

さて、今年の夏山で感じたのはヘルメットを持っている人の多さです。槍に登った時は半数の人が持っていた印象です。ヘルメットはザイル(今はロープといいます)とともにクライマーの象徴でした。ザックにヘルメットをぶら下げ雨蓋の下にザイルを挟んで颯爽と歩いていました。

それがクライマーでなくてもヘルメットを携行するようになったのは、2年前の2013(平成25)年に長野県遭難対策防止協会(遭対協)が県内5つの山域ではヘルメットを被ることを推奨するようになってからです。前年の2012(平成24)年夏シーズン遭難者の4人に1人が頭部外傷を負っていたからです。

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5つの山域は、槍ヶ岳・穂高岳周辺、不帰キレット・八峰キレット周辺、甲斐駒ヶ岳・鋸岳周辺、宝剣岳周辺、そして戸隠山と西岳周辺です。指定山域の山小屋にヘルメットを配備しレンタルも始まりました。それから3シーズン目の今年は一気に拡がったなという印象です。

ところが先日、センター講師の1人が不帰キレット歩いていた時、ヘルメットをザックにつけたまま歩いている若い女性を見かけたという話しを聞きました。かと思えば、唐松岳登山口の八方ロープウエーに乗るときからヘルメットを被っている人も見かけます。

いうまでもなく、ヘルメットを被るのは、落石や転倒・転落した時の頭部保護が一番の目的です。長野県警のホームページには、150m転落したが、ヘルメットを被っていて助かった事例が載っています。いくら石頭の人でも石には勝てません。もう一つ大切なのは、ヘルメットを被ることでこれから危険地帯に入という意識の切替が起きることです。槍ヶ岳の穂先に登る時は誰でも緊張します。その緊張感があるために、あれだけ多くの人が登っても穂先での事故はあまり聞きません。それよりも何故こんなところでと思うような場所での転落や滑落のほうが多く発生しています。

道具で身を守ることも大切ですが、危険を意識し緊張感を持つということ

が自分の身を守る上では一番大切なことだと私は思います。かといって緊張感を維持し続けるのは大変です。リラックスできる場所ではリラックスし、ここ一番のときはヘルメットを被って気合いを入れて通過する。メリハリが大切。

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担当者のおまけコーナー【ヘルメット新旧 in センター】

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↑現在、講習等で利用しているヘルメット。

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↑「ガリビエール」に代表されるひと昔前のヘルメット。

右側のツバ付はエバニュー「滝谷」。

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↑こちら、元センター職員の「滝谷」。

使い込まれて、いい味出してます。

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