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「AvSARの上級コース」(「ビスタリ山ある記」(37))

相変わらず記録的な暖冬が続いています。
先週は寒波がやってきて雪が降りましたが、今年の特徴は降ったすぐ後に暖かくなって雨が降ったりすることです。
その為、雪がたまっていきません。このまま春になってしまいそうです。

先日、”AvSAR”の訓練に参加しました。“AvSAR”は、Avalanche Search & Rescue の略で”アブサー”と読みます。正式名称は、“日本雪崩捜索救助協議会 Japan AvSAR council”です。バックカントリーユーザーや登山者に関心が高まっている、ビーコンを使った雪崩埋没者の捜索と救助の手順を標準化することを目的に作られました。
長野県山岳総合センターも構成員になっています。上級コースは、AvSARが標準化した手順に則って、複数の埋没者がいる大規模な雪崩災害現場で、捜索と救助を指揮する能力をもったコマンダーを養成するコースです。
谷川岳の麓、水上町の土合山の家に泊って2月14日から3日間みっちりと訓練を行いました。受講生は15名。私は講習のスタッフとして主にビーコンを埋める手伝い等をしました。


コースの目的は、コマンダーを養成することなので、ビーコンやプローブの使い方、雪の堀方などの基本的技能は身につけていることが前提です。
1日目はまずそこの確認。10m位の範囲にザックなどに入れたビーコン1個を埋めて1分以内で捜せるか目安です。最近のビーコンは高性能で、使い方に慣れていれば1分は難しいことではありません。しかしビーコンが複数になって、散らばっていたり、1m程度の近い距離にあったり、雪面から1.5m以上深い場所にあったりするとしっかり訓練を積まないと短時間で見つけることができません。


雪崩で埋まった人は、15分程度で掘り出さないと生存率が落ちるので、雪崩捜索は時間との競争です。自分のパーティーが雪崩に遭遇したり、近くにいた人が流されたりした場合、残った人が素早く捜索活動に入って掘り出せば無事に救出することが可能です。そのためには、全員がビーコンを持っていること、使い方を身につけていること、捜索・救助の手順を理解していることが必要です。


2日目と3日目は、土合山の家周辺と天神平スキー場で、様々なシチュエーションを想定してシナリオトレーニングを繰り返し行いました。


受講した15人の人たちは、ガイドさん、救助隊のメンバー、山岳会の指導者など登山のプロの人たちで、最初は大変そうでしたが、3日目になるとだいぶこなれてきていました。


このような訓練はビーコンを持っている人が何人か集まって、きちんとした指導者がいないと難しいですが、AvSARを構成している各団体ではそれぞれ基礎コースを開催しています。
長野県山岳総合センターもこれから開催できるよう、準備を進めています。
AvSARのHPから標準化された雪崩の捜索と救助の手順を解説した「雪崩インシデントへの対応」をダウンロードすることができます。
※雪崩の理解と、雪崩を避けるための方法を知るには「増補改訂版 ~山岳ユーザーのための~雪崩リスク軽減の手引き」東京新聞(¥1700)が役に立ちます。

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