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所長のひと言(29)「山の日」

連日厳しい暑さが続いています。センターは、8月7日から15日まで夏休み。日頃の忙しさから解放されて息抜きの時です。

8月11日は「山の日」。初めての山の日となる今年は「第一回山の日制定記念全国大会 in 上高地 」が行われ、私も参加する機会を得ました。

皇太子ご一家と山に関わる各種団体・業界・企業の代表者や地元自治体の首長など約300人が参加し、かけがえのない山を護り伝え、次代を担う子どもたちと共に「山の未来」を創造することが宣言されました 「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」というのが、「山の日」制定の趣旨です。

日本は国土の7割が山。山の多くは森林に覆われています。森林に覆われた山は、水と空気を浄化し、多くの動植物の命を育んでいます。古来日本人は、高い山には神が住むと考え畏敬の念を持って山と関わってきました。その証が人を怖がらないニホンライチョウです。戦前の頃まで村落の生活は、家の周りに田畑を作り、里山から燃料や肥料や家を建てる材料を手に入れていました。山に入って狩猟を生業とする人たちがいました。ウエストンが来る前の上高地には、狩猟や木材の伐採、馬の放牧などで多くの人が生活していました。

戦後、第2次産業の拡大と、グローバル経済の拡大にともなってこのような山と関わる生活は衰退していき、今の日本人が山と関わる機会で一番多いのは、登山をするときということになるかもしれません。

しかし、このような日本人の生活様式の変化が、里山や森林の荒廃を招いています。生態系は複雑かつ繊細に絡み合っているので、一つの変化は形を変えながらあちこちに影響を伝えます。里山の荒廃は猿やシカ・イノシシなどの野生動物を増やし、増えた動物たちは高山に進出し、高山植物やニホンライチョウの生活を脅かしています。

登山ブームの中で遭難事故が増えています。式典の最中、目の前の西穂高岳でヘリが遭難者を救助していました。登山者が集中する場所ではオーバーユースによる植物や登山道への影響が顕在化しています。

私たち登山者は、登山の喜びを与えてくれる山に感謝するのは自然ですが、同時に山の恩恵は、水や空気、動植物の生態系全体に関わっていることにも思いを致さなくてはなりません。そして、そのようなかけがえのない山を護り、次代に引き継ぐにはどうすれば良いか考えなくてはなりません。

大切なことですが、とても難しいことだと感じています。

 

【当日の上高地の様子】

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参加者のセキュリティチェックゲート前

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多数の報道陣もスタンバイ

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式典には多数の方が参列

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皇太子ご夫妻と愛子様

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子どもたちの参加も印象的でした

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