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「針ノ木岳」(「ビスタリ山ある記」(18))

このところ殺人的な猛暑が続いています。連日40℃近くまで気温があがり全国各地で熱中症の報道が相次いでいます。

こんな時は涼しい山に入るに限ると思って山に出かけても、涼しいのは朝晩だけ。日中は平地と変わりません。むしろ荷物を背負って激しい運動をしているのですから、熱中症のリスクは高いといえます。ゆめゆめ対策は怠りなく!
海の日の三連休、扇沢から針ノ木峠に登りテント泊。翌日は稜線を北に辿り、種池から柏原新道を下りて一周する計画を立てました。

雪渓を登るので涼しいこと、9月の遠征前に荷物を背負って歩く体力を確かめておきたいことが目的です。天気予報では、太平洋高気圧とチベット高気圧が重なって、布団を2枚掛けたようなものとの予報通り、朝から厳しい暑さ。

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でも雪渓に入ると涼しい風が吹いてきて、休むと汗が冷えて寒いくらいです。針ノ木雪渓は、この時期は雪が残っているうえに花も咲き始めて一番楽しく登ることができます。実際多くの人が登っていました。急登を登って、”ノド“を越えたところで一休み、右にマヤクボ沢を見て最後の急登に掛かります。

6月上旬に登った時は、しっかり雪が付いていましたが,今はところどころ細くなって岩も露出しています。傾斜もあるので緊張するところですが、急がず慌てずアイゼンを効かせ、ストックでバランスを取りながら慎重に登ります。

やがて峠。一休みしたいところですが、テント場を確保しなくてはいけません。小屋に近いテント場は既に満杯。雪の上に僅かのスペースがあったのですが、平にするには大変そうで、小屋から10分ほど登ったところのテント場に行くと、一番奥に数張り分のスペースが残っていました。良かった!
テントを張り、少し遅れて到着した相棒とビールで乾杯。テントの外で一杯やっていると、近くのテントの人が、「一緒に飲んでいいですか」とやってきて隣に座りました。そのうち他のテントの人たちもそれぞれ持ってきた酒とつまみを持ち寄って、総勢6人の賑やかな宴会となりました。私たち以外は単独の登山者です。山登りが好きという共通のベースがあるので話題は尽きません。この日は夕方になってもガスが上がらず富士山まではっきり見える安定した天気で、宴会は夕方まで続きました。

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翌朝も快晴。私たちは、昨日の体調を振り返って、今日は先に進むのをやめて、空身で針ノ木岳の頂上を往復した後、雪渓を下ることにしました。昨日の宴会仲間は、下りる人、先に進む人、三々五々出て行きました。

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頂上までは、一部雪渓が残っていますが、花の咲き乱れる稜線歩きです。

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頂上からは、黒部ダム、その向こうに立山・剱の山塊、北には白馬三山、雨飾・火打、戸隠、四阿山。南には八ヶ岳、富士山、南アルプス。そして槍ヶ岳・穂高連峰や北アルプスの名だたる山々。日本中の山が見えるかと思うくらいです。しばし頂上の景色を堪能した後、先に進む宴会仲間を見送って頂上を後にしました。

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私は、基本的に山岳会のパーティーで登山をしてきたので、登山中にパーティー以外の人と一緒に宴会をしたのは初めての体験でした。単独行の登山者が増えた今では、このような一期一会の交わりが、テント場でも小屋の中でも普通になっていて、それに魅力を感じている人も沢山いるのかもしれません。

山岳センターの「登山十訓」には、5番目に「やめよう単独登山」というのがあります。登山関係者の間では、遭難者に単独行が多いので、単独行はよく言われないのですが、これだけ普通になってしまっている現状では、「安全な単独登山」ということを考えてみる時代になっているのかもしれません。

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